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いいトコ取り
あれから数日経った。
事ム所では、相変わらず宴会が続いている。
タバコ代をせしめた山下党首は元より、同年輩が来た事が嬉しい尾崎顧問。
博学だと褒められて嬉しいロッカ。
恐い顔の樺山にしたって、自分自身が党首代行として取り決めた結果を、何となく誇らしく感じている様子だ。
小松さんは嬉々として、便所掃除や風呂の掃除をしてくれるので、秀雄もおおいに助かっている。
このように、小松さんはすぐに馴染んだ。
品があって、おっとりした性格は皆に好かれている。
明治時代から続く、老舗の菓子屋の主人だった男なのだ。
だが秀雄は思うのだ。
馬鹿にされ、踏まれても蹴られても、「いいトコ取り」をして惨めな自分を慰めている。
綺麗な沙耶花と、一時とはいえ関係が持てただけでもラッキーじゃないか。
こんな風に考える浅ましさが、むしろ老化そのものの正体ではなかろうか?
と。
──小松さん。預金の事は「もういいんだよ」って言ってるけど。よーするに泣き寝入りじゃねえか! 許せねえな。
行政の問題だってそうだ。国の、都の、県の、市の、町の、村の、諸問題だって、いつでもそうだ。
利権がらみの事業が頓挫した場合なんか、利権を食っちゃって、なおかつ、知らを切っている権力者に対して、庶民はいつだって「いいトコ取り」をして、許してやっている。
「いんや、あの政治家だって、あすこの社長さんだって、我々の為に一生懸命だったんだ。予算を組みなおして仕切り直しをするって? うん。仕方のない事だよな」
その結果、またしても何億も何十億も、うやむやに消えたりする。
何事も、忘れてやる事こそが美徳だ。と言わんばかりだ。
特に老人はその傾向が強い。
限り在る人生、不正を正す時間はもう無いって事だ。
権力者は、うまうまと、そこに、つけ込んで、新たな利権を発生させ、それを得るのだ。
秀雄は若さ故に、そんな欺瞞に満ちた人生感に、高齢化社会の在りように、立腹するのだ。
勿論、全く自覚はしてないのだが。
スケベ心の方は、よく自覚している。
──うーん! ストリッパーの沙耶花かあ!
──芸能人みたいな写真だな。
──綺麗な色白女。
──パイパンなんだって?
──くそ! 気になって眠れねえ!
小松さんは沙耶花の写真を、自分の店の高級菓子箱に入れて、大切にしていた。
秀雄にも何度か見せてくれた。
その箱には、沙耶花の2LDKマンションの合鍵も入っていた。
秀雄はさっそく失敬して、スペア・キーを作った。
住所は孝太郎に聞いた。
──いい女だ。そして悪い女だ。
──いよっしゃー! 一丁、やったろかー!
秀雄が出動する。

あれから数日経った。
事ム所では、相変わらず宴会が続いている。
タバコ代をせしめた山下党首は元より、同年輩が来た事が嬉しい尾崎顧問。
博学だと褒められて嬉しいロッカ。
恐い顔の樺山にしたって、自分自身が党首代行として取り決めた結果を、何となく誇らしく感じている様子だ。
小松さんは嬉々として、便所掃除や風呂の掃除をしてくれるので、秀雄もおおいに助かっている。
このように、小松さんはすぐに馴染んだ。
品があって、おっとりした性格は皆に好かれている。
明治時代から続く、老舗の菓子屋の主人だった男なのだ。
だが秀雄は思うのだ。
馬鹿にされ、踏まれても蹴られても、「いいトコ取り」をして惨めな自分を慰めている。
綺麗な沙耶花と、一時とはいえ関係が持てただけでもラッキーじゃないか。
こんな風に考える浅ましさが、むしろ老化そのものの正体ではなかろうか?
と。
──小松さん。預金の事は「もういいんだよ」って言ってるけど。よーするに泣き寝入りじゃねえか! 許せねえな。
行政の問題だってそうだ。国の、都の、県の、市の、町の、村の、諸問題だって、いつでもそうだ。
利権がらみの事業が頓挫した場合なんか、利権を食っちゃって、なおかつ、知らを切っている権力者に対して、庶民はいつだって「いいトコ取り」をして、許してやっている。
「いんや、あの政治家だって、あすこの社長さんだって、我々の為に一生懸命だったんだ。予算を組みなおして仕切り直しをするって? うん。仕方のない事だよな」
その結果、またしても何億も何十億も、うやむやに消えたりする。
何事も、忘れてやる事こそが美徳だ。と言わんばかりだ。
特に老人はその傾向が強い。
限り在る人生、不正を正す時間はもう無いって事だ。
権力者は、うまうまと、そこに、つけ込んで、新たな利権を発生させ、それを得るのだ。
秀雄は若さ故に、そんな欺瞞に満ちた人生感に、高齢化社会の在りように、立腹するのだ。
勿論、全く自覚はしてないのだが。
スケベ心の方は、よく自覚している。
──うーん! ストリッパーの沙耶花かあ!
──芸能人みたいな写真だな。
──綺麗な色白女。
──パイパンなんだって?
──くそ! 気になって眠れねえ!
小松さんは沙耶花の写真を、自分の店の高級菓子箱に入れて、大切にしていた。
秀雄にも何度か見せてくれた。
その箱には、沙耶花の2LDKマンションの合鍵も入っていた。
秀雄はさっそく失敬して、スペア・キーを作った。
住所は孝太郎に聞いた。
──いい女だ。そして悪い女だ。
──いよっしゃー! 一丁、やったろかー!
秀雄が出動する。
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