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ハリガネムチ



 沙耶花の化粧が仕上がった。
 写真より、かなりキツめに仕上がっていた。
 より美形の輪郭が際立っていて、いつもよりずっと悪女っぼく見える。

 秀雄は、化粧顔の沙耶花をじっと凝視するのだが、先程までの庶民的なガキヅラは、痕跡すら見出す事ができない。

 ──マジかよ?
 ──あのガキ、何処行った?
 ──沙耶花姉さん。なんだか悪女っぽくなって、やっとお出ましだ。

 まことに「お見事」としか言いようが無い。




 ところで、目鼻立ちのはっきりした美人の場合、化粧顔は、どうしても、「映え過ぎる」とでも言おう か、キツめに決まる。
 女優の沢口靖子さんなんかの若い頃がそうだ。
「映えすぎる」というのは、どうにも男の劣情とは結び付き難いように思う。
 ホラー系と結び付いちゃったりする。



 まあ、最近は歳を重ねたぶん(失礼)美形の濃い輪郭が淡くなってきて、エロっぽい化粧が似合いそうになってきた。
「科捜研の女」みたいな硬質な演技ばかりじゃなくて、もっと、エロ可愛い女を演じて欲しいものである。
 ああゆう真面目な女は、エロだって真面目に精進するに違いない。
 ファンは、あなたの、真面目なヌレ場が見たいのです。





 思うに、男心をとろかすのに最適な化粧顔の、ベストポイントは、沙耶花のように化粧映えのするシンプルな顔によってのみ、成し得るのかもしれない。

 更に思うのだが、このように、変幻自在の顔を持ち、「仮面の心理」の中で生きている沙耶花なればこそ、小松さんに対しての罪悪感も、ぐっと少ないのかもしれない。

 ともあれ秀雄は、モチベーションを取り戻した。

 ──おー! サンキュー沙耶花。お陰で勃つ事が出来る。
 ──抜群にいい女だ。勃つ。勃つ。ヤッテやるぞ! 変な展開だな。



 さっそくクローゼットの中で見つけた黒いベビードールを渡すと、沙耶花はゾウさん柄のパジャマを、はらりと脱ぎ捨てた。

 すっ裸になった沙耶花は、ドレッサーの椅子の上で、くるりと振り向き、秀雄に向かって座り直すと、その美脚を組んだ。

 ドレッサーの鏡の中に浮かび上がる沙耶花の背中ときたら、真っ白くしなやかで、しみひとつ無い。

 沙耶花は、黒い薄地のベビードールをつまんだまま言った。
「これ、着てほしいって訳? アンタ、あたし達の商売をナメてんじゃないの? 裸を見せる商売の女だから、ヤラしてくれると思ったの? あたし達はソノ筋のおニイさんとだって繋がってんのよ! 今、このまま、出て行ったら、何も無かった事にしてやるわ」

 沙耶花は美形の悪女となり、こう言って凄むのだった。
 まさに仮面の心理の成せる業であろう。

 それにしても、毛の無いデルタが造るシルエットが、なんと言おうか。そうだ。完璧な美しさなのだ。
 つるつるの丘(土手)の光沢がたまらない。

 秀雄が言った。
「オマエ、顔が変わると声まで変わるんだな。とにかく、黒い下着な。早く着ろよ!」

「馬鹿なのアンタ? 意味、解ってんでしょ! さっさと帰ってよ! ヤクザにタコ殴りにさせるわよ!」

「タコ殴りイ? マジ、ガラが悪い女だ」

 秀雄は立ち上がって、やはり部屋干しにしているパンティのかかったハンガーを外して、ハンガーからパンティを抜き取った。

 ──この馬鹿。パンティ盗んで帰るつもりね。

 だが秀雄は、再び沙耶花に向かって、ベッドに腰を下ろした。

「そんなにすっ裸が好きなら、勝手にしろ。もう言わねえ」
 と言いながら、ハンガーの曲がりを伸ばしている。
 ハンガーはハリガネ製の物であった。
 沙耶花はじっと睨んでいる。
 ハンガーは伸ばされて、その形態を変えた。

「よし。出来た」

「え?」

 ──ヒュン!
 と風を切ったハリガネむちは、ドレッサーの椅子に座ったままの沙耶花の、組まれた太ももを打った。
 ──ビシッ!
「ぎゃっ」
 と叫んだ沙耶花は、反射的にうずくまった。
 その白い背中めがけて、
 ──ヒュッ!
 ──ビシッ!
「きゃっ!」

 脇腹だって容赦はしない。
 ──ヒュッ!
 ──ビシッ!
「はうっ!」

 太もも、背中、脇腹と、たちまち三本の「みみず腫れ」が出来た。

「痛い! 痛い! なにアンタ! 気違い!」

「泣くなよ! 泣いたら顔を打ってやる! 本物のドブスにしてやる!」

 こう言って、美しい乳房を打つ。

 ──ヒュッ!
 ──ビシッ!
「ひいっ!」
 微妙に乳首を外れた。
 半球体に沿って、みみず腫れが走る。

 激痛もさる事ながら、美肌に惜し気もなく、無造作に次々と作られる「みみず腫れ」にサヤカは驚愕し、声を失った。

 ──コイツ。マジで気違いだわ。

 考えを巡らせる暇なんか無い。
 すぐさま次が襲って来る。
 ──ヒュッ!
 ──ビシッ!
「ぎゃっ!」
 今度はすねを打たれた。
 すんなり「子供脚」にも、無残な「みみず腫れ」が走る。

「これでも手加減してるんだ。力いっぱい打ったら、皮膚も肉も、裂けるだろうな。さすがはハリガネ。たいした威力だ」

「イッターイ! もうやめて! アンタ、ヤリたいんでしょ。さっさとヤッテ、早く帰ってよ!」

 ──ヒュッ!
 ──ビシッ!
「はうっ!」
 首筋にも「みみず腫れ」だ。
 鎖骨の上の所だ。

「痛い! ごめんなさい。赦して下さい。いったい、どうすればいいの?」

 ──ヒュッ!
 ──ビシッ!
「くうっ!」
 防御した腕にも、みみず腫れが走る。

 沙耶花は歯を食いしばる。だが、溢れ出した涙が、ポトポトと太ももに落ちた。

「泣くなって言ったろ! 泣いたら、ブスガキになっから言ってんだ!」
 秀雄は沙耶花の髪の毛を引っつかみ、前かがみにさせて、その背中を打った。
 ──ヒュッ!
 ──ビシッ!
「うわあっ!」
 ──ヒュッ!
 ──ビシッ!
「ぎゃあっ!」
 連発で喰らって、みみず腫れ2本が追加される。。
 まったく、容赦のない男である。

「わおおおお」
 とベッドにうっぷして沙耶花は泣き出した。当然だ。
 秀雄は言い放つ。
「泣いたら、手加減は止める。身体中、切り裂いて、血まみれにしてやる。カサブタの塊にしてやろか? 直った跡だって、ゾウの皮膚みたいになるかもな。丈夫そうだけど、色気はねえな」

 すっ裸の沙耶花は、秀雄にむしゃぶりついた。

「なんでもするから、ムチは、ムチだけはもう、許してえ……」
 こう言いながら、秀雄の服を、ズボンを脱がしてゆく。
 秀雄は鞭打ちに興奮していた。
 沙耶花がトランクスを脱がせると、巨砲が登場した。
 ビンビンの25センチ。
 スーバーウェポンである。
「ふわっ。大きい!」
 沙耶花が感嘆の声をあげる。
「さあ。沙耶花姉さんの必殺テクニックで、早くイカしてくれよ」

 沙耶花は大口を開けてかぶり付いた。
 秀雄はじっと見ている。
 ──いいなあ。美形だ。

 ジュボッジュボッジュルジュルジュボッ
 と、沙耶花は技の限りを使っている。

 フェラチオは得意な沙耶花であったが、何しろ秀雄は特異体質なのだ。(雨のち強姦 その1話 参照)
 ──あーん! この男、強いわ。いえ。きっと遅漏ちろうなんだわ。
 ──お口じゃ無理。

 沙耶花はクリトリスに指を這わした。

 ──膣の中をもっと濡らさなくっちゃ。
 ──引き出しからローション出したら、この場合、やっぱり変だよね。
 ──あーん。お口がしびれてきた。

「えふっ・えふっ・・・ねえ・ベビードール・着た方が感じる?」

「好きにしろ。それより、ちょっと歯を立ててみ?」

「こう?」

 ──スゲー気持ちいい!
 ──この女、スゴテクだ。


















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