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強姦魔の天敵
ドアを開けると同時に、沙耶花が薄暗がりの中で言った。
「ミツル? ……じゃないわね。あ! 小松さん?」
変な夢を見て、ちょうど目を覚ましたところであった。
「ブー! 違います」
「え? ハプニング撮影かなんか? そんな契約は、……ひょっとしてミツルが? したの?」
「ブー! 残念! カメラマンいねえだろ」
「じゃ誰? 何の用?」
「えー。はじめまして。ワタクシ、強姦魔でゴザイマス」
「え? 何? どういう事?」
「だから、強姦しに来たって言ってんだろ!」
「は? あ! ファンの人ね! わたしが抱きたくて侵入したのね!」
「オメエなんかのファンじゃねーよ!」
言うなり、頬を張り飛ばしてやった。
──バッチーン!
小柄な沙耶花はぶっ飛んだ。
つまり、ベッドから転げ落ちた。
秀雄は部屋の電灯をつけた。
パッと明るくなる。
ベッドの下にうずくまっていた沙耶花が顔を上げた。
鼻血を垂らしている。
驚愕の為に目を大きく見開き、色の薄い唇がワナワナと震えている。
「え?」
と、今度は秀雄が驚愕した。
そして言った。
「オメエ! ……妹か? 姉ちゃんは? 沙耶花は何処行った? いねえのか?」
女は複雑な顔をして沈黙している。
薄手のパジャマは黄色い生地に、緑のプリント柄のゾウさん模様。
しかも愛用のドーナツ枕も、お揃いの柄だ。
当然、泣きっつらなのだが、そのシンプルな顔は、どこから見ても中学生くらいにしか見えない。
ひょっとして小学校高学年かもしれない。
しかし、よく見ると胸は豊満で、Cカップくらいの膨らみじゃないか。
それに、首筋も手足もやたら色っぽい。
女が言った。
「姉は……いません」
この場合、頭のいい返事と言えよう。
女を凝視しながら、秀雄が言った。
「は、はあ、そうか。……シカシ、沙耶花、オメエ、スゲーギャップだな」
沙耶花が答えた。
「みんな……そう言うの……」
秀雄は室内干しのタオルを、「便利もの干し」から、むしり取って差し出した。
「とにかく……これじゃいかん! 鼻血拭け」
タオルで鼻血を拭きながら、沙耶花が泣き出した。
「ふ……ふえ~ん!」
「あ! 馬鹿! 泣くな! あー! ますますガキ臭くなる!」
「だってえ~! ぐすっ」
「ウルセー! 泣いたらぶっ殺すぞ! まったく!……」
化粧映えする顔なのだ。
素顔だってブスって訳じゃない。
だが、どうにも子供っぽい顔なのだ。
いや、子供そのもの。つまり、ガキの顔なのだ。
化粧顔とはまったく違って、まるっきり、色気を感じない。
これだったら、ませた小学生の方が、余程色気がある。
実は、恋人のミツルが、平気でほったらかしにしているのも、このスッピンなら安心と思っての事だった。
ドレッサーの上には、沙耶花のコスチュームでの艶姿の写真が飾ってあった。
「オイ沙耶花、化粧するんだ。この写真と同じになれ!」
沙耶花は、もそもそとドレッサーに向かって、化粧を始めた。
──この男、失礼しちゃうわね!
──でも、我ながら、ずいぶん違うもんね。
恐怖を紛らわす為に、沙耶花は化粧に没頭する。
──憎ったらしいから、ちょっとキツめに仕上げてやろう。
秀雄はクローゼットを開けて、衣装を選んでいる。
──おいおい、ゾウさんのパジャマかよ。ったく!
──人生、何があるか解んねえな。はあ。びっくりした。
──単なるガキヅラじゃねえんだ。そうだ。これは、世間様に愛される庶民的なガキヅラだ。
──セックスからもっとも程遠い、ゴールデンタイムの人気子役の顔だ。
──思わず小遣いやりたくなる。
──当然、小松さんもスッピン知ってたんだろうな。一緒に暮らしてたんだからな。
──身体ばっか見てたんだな。
──案外、あっさり諦めたのは……あははは。……かもしんねえ。
強姦魔に天敵がいるとすれば、それは、庶民的な人気子役の顔なのかもしれない。

ドアを開けると同時に、沙耶花が薄暗がりの中で言った。
「ミツル? ……じゃないわね。あ! 小松さん?」
変な夢を見て、ちょうど目を覚ましたところであった。
「ブー! 違います」
「え? ハプニング撮影かなんか? そんな契約は、……ひょっとしてミツルが? したの?」
「ブー! 残念! カメラマンいねえだろ」
「じゃ誰? 何の用?」
「えー。はじめまして。ワタクシ、強姦魔でゴザイマス」
「え? 何? どういう事?」
「だから、強姦しに来たって言ってんだろ!」
「は? あ! ファンの人ね! わたしが抱きたくて侵入したのね!」
「オメエなんかのファンじゃねーよ!」
言うなり、頬を張り飛ばしてやった。
──バッチーン!
小柄な沙耶花はぶっ飛んだ。
つまり、ベッドから転げ落ちた。
秀雄は部屋の電灯をつけた。
パッと明るくなる。
ベッドの下にうずくまっていた沙耶花が顔を上げた。
鼻血を垂らしている。
驚愕の為に目を大きく見開き、色の薄い唇がワナワナと震えている。
「え?」
と、今度は秀雄が驚愕した。
そして言った。
「オメエ! ……妹か? 姉ちゃんは? 沙耶花は何処行った? いねえのか?」
女は複雑な顔をして沈黙している。
薄手のパジャマは黄色い生地に、緑のプリント柄のゾウさん模様。
しかも愛用のドーナツ枕も、お揃いの柄だ。
当然、泣きっつらなのだが、そのシンプルな顔は、どこから見ても中学生くらいにしか見えない。
ひょっとして小学校高学年かもしれない。
しかし、よく見ると胸は豊満で、Cカップくらいの膨らみじゃないか。
それに、首筋も手足もやたら色っぽい。
女が言った。
「姉は……いません」
この場合、頭のいい返事と言えよう。
女を凝視しながら、秀雄が言った。
「は、はあ、そうか。……シカシ、沙耶花、オメエ、スゲーギャップだな」
沙耶花が答えた。
「みんな……そう言うの……」
秀雄は室内干しのタオルを、「便利もの干し」から、むしり取って差し出した。
「とにかく……これじゃいかん! 鼻血拭け」
タオルで鼻血を拭きながら、沙耶花が泣き出した。
「ふ……ふえ~ん!」
「あ! 馬鹿! 泣くな! あー! ますますガキ臭くなる!」
「だってえ~! ぐすっ」
「ウルセー! 泣いたらぶっ殺すぞ! まったく!……」
化粧映えする顔なのだ。
素顔だってブスって訳じゃない。
だが、どうにも子供っぽい顔なのだ。
いや、子供そのもの。つまり、ガキの顔なのだ。
化粧顔とはまったく違って、まるっきり、色気を感じない。
これだったら、ませた小学生の方が、余程色気がある。
実は、恋人のミツルが、平気でほったらかしにしているのも、このスッピンなら安心と思っての事だった。
ドレッサーの上には、沙耶花のコスチュームでの艶姿の写真が飾ってあった。
「オイ沙耶花、化粧するんだ。この写真と同じになれ!」
沙耶花は、もそもそとドレッサーに向かって、化粧を始めた。
──この男、失礼しちゃうわね!
──でも、我ながら、ずいぶん違うもんね。
恐怖を紛らわす為に、沙耶花は化粧に没頭する。
──憎ったらしいから、ちょっとキツめに仕上げてやろう。
秀雄はクローゼットを開けて、衣装を選んでいる。
──おいおい、ゾウさんのパジャマかよ。ったく!
──人生、何があるか解んねえな。はあ。びっくりした。
──単なるガキヅラじゃねえんだ。そうだ。これは、世間様に愛される庶民的なガキヅラだ。
──セックスからもっとも程遠い、ゴールデンタイムの人気子役の顔だ。
──思わず小遣いやりたくなる。
──当然、小松さんもスッピン知ってたんだろうな。一緒に暮らしてたんだからな。
──身体ばっか見てたんだな。
──案外、あっさり諦めたのは……あははは。……かもしんねえ。
強姦魔に天敵がいるとすれば、それは、庶民的な人気子役の顔なのかもしれない。
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