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新たな獲物

こんな体型の女(加納美香や杉本彩みたいな)には、虚弱日本男児(勿論、秀雄の事ではない)としては、思わず怯んでしまいそうになる。
しかし麦子は、優しげな顔の造作に救いがあった。
怜悧な感じのストレートのロングヘアーなのだが、心持ちふっくらした頬が、親しみを感じさせる。
麦子は秀雄より2歳上の28歳であった。
一緒に鏡を見ている。
──照れるな。ハウスマヌカンってこんな感じなのかな?
鏡の中の、笑顔の麦子が眩しい。
「良くお似合いですわ。とってもカッコイイわあ……ごめんなさい。素敵ですわ。お客様は、日本人離れした体格でいらっしゃいますから。思わず見とれちゃいます」
──おーおー見え透いたオセジを、次々と……でも……嬉しい。災難の後は、格別って事。
照れ笑いにもなる。
「アハハハ」
「笑顔が素敵ですわ」
「いや……もう……カンベンしてチョー!」
その時秀雄は、とっても似合わなくて、〝らしくない〟セリフが言いたくなった。
「あの、服を選んでもらったお礼に、今夜、食事でも、いかがっすか? えと、たいした店は、知らないけど、あの、せめて、日本にいる間に・・・お礼が・・・ダメっすか?」
ちょっと考えてから麦子は答えた。
「ええ。ありがとう。・・・・あんまり遅くならないなら。喜んで、お誘い、お受けします」
「うひょー!」
「うふふふ」
昨日までの二日間は、経営陣や戦略本部との打ち合わせに、余念の入るいとまも無かった。
半ば、ヤケクソ気分で、この店を手伝いにきている麦子であった。
どうせ、何処かへ出かけても「戦略本部」からの電話が鳴るのだ。
──『一人勝ち』かあ。確かにその通りよね。「不景気を勝ち抜く為だ!」って、リサーチに理念。「 青畑君、どのくらいイケそうかね?」もう、そればっか! うるさいのよ。
── 南昌店にしたって、現場の私にしてみれば、出たとこ勝負って事。……アハハ女は度胸って言葉、知らないのね。
──企画や戦略本部は、何かというと、「現場責任者は綿密に。しっかりとした予測の元に。我々のバックアップあってこそだ!」そもそも、私に対しての思いやりと配慮なんて、まったく持ち合わしてないんだから。
目の前で、同世代の、自分より背の高い、しょうゆ顔の二枚目が笑っている。
──このヒト、笑顔が可愛いわ。やっぱり北京の人とは、だいぶ違うわね。
──せっかくの日本だもの、久々に羽を伸ばしたいわ。
誰にでも好みはある。
背の高い麦子が男性を見る時、ほぼ、男の正面顔が見える。
目線より下に男の顔があるのも、珍しい事じゃない。
だから、見上げる感じで会話する、しかもイケメン男性は、貴重な存在であった。



こんな体型の女(加納美香や杉本彩みたいな)には、虚弱日本男児(勿論、秀雄の事ではない)としては、思わず怯んでしまいそうになる。
しかし麦子は、優しげな顔の造作に救いがあった。
怜悧な感じのストレートのロングヘアーなのだが、心持ちふっくらした頬が、親しみを感じさせる。
麦子は秀雄より2歳上の28歳であった。
一緒に鏡を見ている。
──照れるな。ハウスマヌカンってこんな感じなのかな?
鏡の中の、笑顔の麦子が眩しい。
「良くお似合いですわ。とってもカッコイイわあ……ごめんなさい。素敵ですわ。お客様は、日本人離れした体格でいらっしゃいますから。思わず見とれちゃいます」
──おーおー見え透いたオセジを、次々と……でも……嬉しい。災難の後は、格別って事。
照れ笑いにもなる。
「アハハハ」
「笑顔が素敵ですわ」
「いや……もう……カンベンしてチョー!」
その時秀雄は、とっても似合わなくて、〝らしくない〟セリフが言いたくなった。
「あの、服を選んでもらったお礼に、今夜、食事でも、いかがっすか? えと、たいした店は、知らないけど、あの、せめて、日本にいる間に・・・お礼が・・・ダメっすか?」
ちょっと考えてから麦子は答えた。
「ええ。ありがとう。・・・・あんまり遅くならないなら。喜んで、お誘い、お受けします」
「うひょー!」
「うふふふ」
昨日までの二日間は、経営陣や戦略本部との打ち合わせに、余念の入るいとまも無かった。
半ば、ヤケクソ気分で、この店を手伝いにきている麦子であった。
どうせ、何処かへ出かけても「戦略本部」からの電話が鳴るのだ。
──『一人勝ち』かあ。確かにその通りよね。「不景気を勝ち抜く為だ!」って、リサーチに理念。「
──
──企画や戦略本部は、何かというと、「現場責任者は綿密に。しっかりとした予測の元に。我々のバックアップあってこそだ!」そもそも、私に対しての思いやりと配慮なんて、まったく持ち合わしてないんだから。
目の前で、同世代の、自分より背の高い、しょうゆ顔の二枚目が笑っている。
──このヒト、笑顔が可愛いわ。やっぱり北京の人とは、だいぶ違うわね。
──せっかくの日本だもの、久々に羽を伸ばしたいわ。
誰にでも好みはある。
背の高い麦子が男性を見る時、ほぼ、男の正面顔が見える。
目線より下に男の顔があるのも、珍しい事じゃない。
だから、見上げる感じで会話する、しかもイケメン男性は、貴重な存在であった。
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